通常このブログでは、旅のインフォメーションとして、観光のおすすめや参考になるであろう情報をピックアップして書いています。
だけど常にそのような時間を過ごしているわけでなく、実際は参考になりそうもないローカルな経験の方が多いです。
日本にいる友達からは、いつも何しているの?とよく質問されるので、今回はチェコ滞在時の生活や独自の体験についてまとめてみました。
これといって特別なことはしていませんが、ありがたいことに人にはいつも恵まれるので、現地の友人達のおかげで面白い旅ができていると思います。
そしてチェコで本当におすすめしたいのは、ガイドブックには載っていない、このような場所かもしれません。
チェコ滞在時の基本生活
プラハから1時間半、郊外の小さな町に滞在
滞在先はUhlířské Janovice(ウフリーシュスケー・ヤノヴィツェ)という小さな町です。チェコではこの町にある、友人宅にお世話になっています。
Uhlířské Janoviceはとても静かな田舎町ですが、周辺にはレストランやバー、小さな商店や銀行もあるので、最低限の生活には困りません。
広場には町のシンボル的存在である古い教会が佇んでいて、すぐ裏側にもうひとつ、こじんまりとした可愛らしい教会が並んでいます。
駅は古い木造の建物で、擦れた窓や電球などにどこか懐かさを感じます。
私は乗り物が苦手ですが、チェコのローカル列車や古い駅の雰囲気はとても気に入っています。
ちなみにUhlířské Janoviceからプラハへ行くには電車を乗り継ぎ1時間半、コリーンまでは直通で40分ほどかかります。
決して便利ではありませんが、チェコは都会よりも郊外にいる方が面白いと思います。
ビールの国チェコでの食生活
食事は基本的に庭の畑の野菜を食べ、ときどき街へ買い出しに行くパターンです。
畑ではトマトにきゅうりにパプリカにじゃがいも、にんじんにチリにズッキーニ、そしてビーツにベリーの実もなっていました。
ただ収穫は夏しかできないので、冬はスーパーマーケットへ出かけるしかありません。
物価は安く、物によってはプライスを見間違えたかと思うくらいの、お買い得価格に出会うこともあります。
麦の生産が盛んなためビールとパンは特に安く、ビールは500ml缶で80〜100円くらい、パンは小さいものだと5円くらいから売ってます。
レストランでも生ビールが200円以内で飲めると思います。もちろん場所にもよりますが、とにかく日本に比べて安いです。
難点はお米と魚介類が少ないことで、たとえお米を買っても炊飯器がないので、ついパスタかパンの毎日になってしまいます。
これも短期滞在なら気になりませんが、長くなるとやはりシンプルな日本食が欲しくなってきます。
Uhlířské Janovice周辺にあるもの
森の中の修道院と廃屋
町の中心から少し離れると森が広がり、夜はどこからかオオカミの遠吠えが聞こえます。
天気が良ければ空に天の川を見ることができ、早朝と夕暮れにも様々な表情が現れます。
車で走ると道の途中に修道院が見えてきます。ここからは湧き水が出ていて、タンクを持って汲みに来ている人もいます。
チェコは水道水を問題なく飲めるので、きれいだからというよりは、何か言い伝えのある「聖なる水」なのかもしれないですね。
その近くには廃屋があり、柵をくぐって敷地へ入ると、窓越しに見る室内には家具が置かれたままになっていました。
どんな人が住んでいたのか、いつから廃屋となったのかは知りませんが、ちょっとミステリアスなこの場所にとても惹かれてしまいました。
チェコの森を散歩
道の途中に車を停めて、そこから始まる森の散歩。私は滞在中に何度もこの道を歩きました。
ときどき人にすれ違うこともあり、夏はきのこ狩りの家族の姿、冬はクロスカントリースキーで歩く姿などが見られました。
森の奥には湖があります。ここは名の知れた湖ではなく、この森を散歩する人しか知らない場所だと思います。
静かな森にひそむ湖の様子はとても美しく、あまりの心地よさに木陰で目を閉じて瞑想しました。
冬は水面が凍り、真っ白になった氷の上を歩くことができます。冬の静かな森は光がとても繊細で、足音はしんとした雪の中に消えていきます。
チェコ人たちとの交流
町の人はフレンドリー
町の人は基本的にフレンドリーだと思います。友人宅の隣にはとてもユニークな女性が住んでいて、彼女とはすぐに仲良しになりました。
路線バスの乗り方がわからないと言えば、街まで一緒にきてくれたり、畑のトマトでケチャップを作るときは、やり方を教えてくれたりしました。
私はチェコ語ができないため、きっと相手にするのは大変だったと思いますが、声をかけるといつも快く引き受けてくれます。
親切にしてくれたお礼に、エステティシャン時代の技術を使ってフェイシャルマッサージ施したら、とても喜んでくれたので嬉しかったです。
近所の農場と物々交換
Uhlířské Janoviceの近くに農場があり、そこで濃厚ミルクで作った美味しいアイスクリームが食べれます。
私が行ったときは残念ながら店じまいでしたが、夜になっても生ビールだけは延々と出てきました。さすがビールの国チェコ。
ここにはパン職人の女性がいて、機械を使わず手ごねでパンを作っています。そのため肩や腕はたくましく、また飾り気がないキャラクターも印象的でした。
ある日の夕方友人宅にいると、「Maki〜!コンニチハ〜」と声が聞こえました。
外を見ると農場の女性の姿があり、手作りブレッドとたまごを持って、友人の畑の野菜と物々交換しに来たのです。
オニオンブレッドに新鮮たまごに新鮮野菜、そして人々のフレンドリーな姿。Uhlířské Janoviceは都会にはない贅沢がたくさん詰まっています。
チェコ滞在時の訪問先
旅の時間はいろいろな場所に出向きますが、どちらかというと人気のあるスポットよりも、ローカルな方が好みです。
なぜかというと、その土地の素を感じられるからかもしれません。例えばチェコではこんな場所を訪れました。
古い町並みが美しいKouřim(コウジム)
Uhlířské Janoviceの北に位置する小さな町、Kouřim(コウジム)。町の手前にゲートがあり、そこをくぐると石造りの古い建物が立ち並んでいます。
よく観光のキャッチコピーに「中世ヨーロッパ」とありますが、本当に中世を感じたければ有名観光地よりも、このような場所に来るといいでしょう。
Kouřimには少し立ち寄っただけなので詳しい様子はわかりませんが、映画のロケ地としても使われたそうで、独特な美しさを漂わせています。
美しいといっても「華やか」ではありません。チェコの古い町はどこか影がひそむ感じがあり、そこが魅力の部分だと思います。
ただ今回の目的はKouřim観光ではなく、町からさらに奥へ向かった先の、あるお宅を訪問しました。
鉄道好きのご主人のいる農場
ここは友人のそのまた友人宅で、周辺の土地では色々な野菜が育てられ、たくさんの動物も飼育されています。
プライベート農場なのかビジネスをしているのかわかりませんが、「畑?そんなのこの辺りぜーんぶさ!」という言葉通り、敷地はとにかく広いです。
庭先にご主人と子供二人が遊んでいて、なぜかこのファミリーは全員パンツ(下着)姿の、気取らなすぎる格好をしています。
友人宅の畑はご主人のアドバイスによってはじめたそうで、今度は野菜栽培のコツだけでなく、ニワトリの飼育方法も伺っていました。
都会生活からナチュラルライフに移り変わった友人にとって、ご主人は師匠のような存在なのかもしれません。
私は前日の夜にプラハでビールを飲みすぎたため、何を飲む?と聞かれたときコーヒーと答えたはずなのですが…なぜかビールも添えられています。
ご主人はビール瓶を片手にピクルスにしたチリをかじり、「これは最高だ!」と言っています。なんて熱いオトコなのでしょう。
私はさすがにチリはかじれないので、端っこをちょこっとだけいただきました。
鉄道会社に勤めているご主人は、電車の模型のコレクションが趣味なのだとか。日本の電車も持っていて、それを得意げに見せていました。
そして新幹線の模型について質問され、チェコにはないから日本で探して欲しいと、詳細をいろいろ言われましたが、私にはちんぷんかんぷんです。
娘ちゃんに案内されて農場周辺をお散歩したあと、手作りケチャップときゅうりのピクルスをいただき帰宅しました。
Kouřimの町と農場訪問の面白い旅の時間でした。
芸術の国チェコのアーティスト
チェコは芸術の国というだけあって、数多くのアーティストが存在してます。
とはいっても、正直私にはわからない世界も多いのですが、ある日とても素晴らしいアーティストに出会いました。
森の中に現れた家
この日は遠出をする予定で、友人が「森の中の家に行くよ、大好きな家なんだ」と言ってましたが、それがどこなのか不明なまま出発しました。
不明な理由は私の語学力の低さに加えて、合流するはずの人がドタキャンするなど、変更の多いスタートだったからです。
車で数時間走ったでしょうか。遠くに見えてきたのは言葉通り「森の中の家」でした。何もないところにポツンと家が建っています。
到着すると老夫人が出迎えてくれて、中へ入ると帽子をかぶったオシャレなパパさんが「やぁ」と笑顔で手をあげています。
誰だろう?とキョトンとしてしまいましたが、このあととても面白い場所に連れてきてもらったことに気付きました。
ガラスアーティストJaroslav Matouš
ガラスのアート
ここはJaroslav Matouš(ジャロスラフ・マトゥシュ)という、チェコのアーティストのお宅です。
彼は画家であり彫刻家。主にガラスを使った作品を作っていて、以前日本人にアートを教えるために来日したこともあるそうです。
図々しくも作業場に入り、中の様子や作品を拝見させてもらいました。できれば作る工程も見たかったけど、それはロングプロセスなのだそうです。
日本は富山県に滞在していたようで、当時の写真を見ながらそのときのことをいろいろと話してくれました。
日本と繋がりがあるというのはやはり嬉しいですね。あちらも私が日本人であるというところに、親しみを感じてくれたようです。
オールドスタイルのハンドメイドハウス
Matoušさんの作品はガラスや絵画だけではありませんでした。なんとこの家は丸ごと彼の作品だったのです。
つまり大工さんが建てたのではなく、Matoušさんが造った家ということです。
造りもインテリアも、チェコの古いスタイルの可愛らしいデザインで、まるで西洋館の展示物の中にいるような気分でした。
だけどここは間違いなく、リアルに生活している家なのです。古き良きチェコの様子を肌で感じることができて、思わずゾクゾクしてしまいました。
自慢は暖炉らしく、火を入れるのは僕の仕事なんだと話していました。通路にはニャンコ専用玄関もあります。
ママさんが料理を準備してくれていたので、持ってきたシャンパンで乾杯しました。
Matoušさん宅周辺の森
森に届く郵便物
軽く飲んだあとはみんなで森をお散歩です。ママさんが道でキノコを見つけては、食べれるものかどうかを選別しています。
途中で気になるものを見つけました。これは森の住人のための郵便受けで、郵便物は玄関先ではなくここまで取りに来るそうです。
Matoušさんのお宅の横に一件お家がありますが、そのほかの建物は見ていないので、隣の家はどこなのかわかりません。
見かけなかったということは、それだけ遠く離れているのでしょうか。森には不思議がいっぱいです。
日没前の湖畔にて
明かりが何もない森の中。夜はきっと素晴らしい星空が広がっているのでしょう。
日没前には退散したので夜の様子はわかりませんが、近くの湖で美しい夕暮れの空を眺めることができました。
この日のMatoušさんとママさんを見ていたら、以前出会った長野県青木村の、築140年の自宅で和食屋さんを営むご夫婦とイメージがかぶりました。
それは夫婦で田舎暮らしをしているからという意味ではなく、利益やステータスではないところを見て生きてる気がしたからです。
チェコの森のお宅訪問は、ステキな旅の時間でした。連れてきてくれた友人に感謝です。
チェコ旅行記まとめ
誤解を招く言葉になりますが、私は旅を楽しもうとはしていません。
はじめから楽しもうと試みるのではなく、過ごしていればいろいろなことが起こり、そこに自然と楽しさや喜びが湧いている、というのが近いです。
チェコに限らずどの国も同じですが、旅は常にミラクルの連続です。
次の瞬間に何が起きるか予測ができないだけに、子供の頃のような新鮮さが表れるのかもしれません。
チェコではたくさんの人たちが、一人ではたどりつけなかった景色を見せてくれました。私にとって、とても親しみのある大好きな国です。
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